大佐和花卉園
その品種にあった色、艶、表情を求めて
千葉県富津市は、東京湾に面した海側にある。背後に三舟山があり、標高的には高くは無いが、ちょうどお伺いした2月には雪が降り積もり竹林の竹が雪の重さで道を塞いでいた。
50年続く大佐和花卉園は、現在の平野圭祐さんで3代目にあたり、初代はメロン、野菜農家。アンスリュームは2代目にあたるお父さんが研修先で観葉植物で栽培されていたものを持ち帰り、切花としてはじめたのがきっかけで、約40年続いている。当初は市場にもほとんど出荷が無く、市場と話し合いながら花の認知度を高め、現在に至っているという。
圭祐さんは、ハワイでの1年の研修後、家を継ぎ10年アンスリューム一筋でやってきた。株の育成は、オランダからの苗を2年間育て、更に1年出荷が出来る迄には成長を要す。
南国のイメージで、丈夫のような意識をもちがちなアンスリュームだが、とても繊細な植物だという。君津市とは遠く無い位置関係にあるが、この大佐和は水が良く無い為、フィルターをかけ、綺麗な水にしてあげないと、根がすぐ腐る。また、夏場は特に空気の流れをこもらないようにし、大きな扇風機で外へ押し出してやることで、外気を反対側から「引っ張り」空気の入れ替えを行うとのことだった。冬場は、品種によって15度から35度という暖かい温度で室内を保ちながら、扇風機で循環し、水やりに注意し続けながら管理が必要で、病気が広まらないようポットで育てていることからも、アンスリュームのデリケートさがうかがえた。
大輪、小輪合わせて15品種程育てているが、花の多い時期が4〜6月。色も艶も一番良いのが1月〜4月だといわれ驚いた。理由は寒い時期の紫外線と、日の長さに関連していて、葉と花がゆっくり大きく成長することで、大輪で発色の良いものが育つ。また3月の夜温が暖かくなると、植物は成長で無理をすることが無いので、花は小さくなるが本数が増えてくるのだという。平野さん曰く、「植物の力を自然と引き出してあげることが大事」なのだという。
線路をまたいだ先にあるものは
大佐和花卉園のハウスのロケーションは実に面白い。写真でもわかるように線路を挟んで立ち並ぶからだ。私も様々な場所に足を運んだが、左右を見て確認し、渡らなければならないのは初めての経験。採花されたアンスリュームがいつも線路を渡って作業場にいく...想像してもらいたい風景だ。
作業場では、花粉を拭き取りパッキング材で傷まないように丁寧に一本ずつ扱われ、葉も一枚づつスポンジで洗われたあとにワックスを塗り、梱包される。その几帳面な仕事ぶりは、開封する花屋さんの中でも有名な話だ。
最後に平野さんとは初対面だったが、ほんの少し強面な印象をうけるが、声は小さく優しいし、力持ちといった感じだった。実は取材のときも体調を悪くされていたところ無理にお伺いしたのだが、快諾して頂けた。今考えると平野さんは外見の印象と内面の繊細さをもつ...アンスリュームのような人だった、そう思えてならない。
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あ、か
大佐和花卉園
さ、た
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な、は
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ま、や
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ら、わ
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